5年目に考えること

5年前の9月11日、つまり日本の12日の朝は電話を待っていた。

そのときのことは、とてもよく覚えている。当時、インディアナ州に彼氏がいて、彼を訪ねて後輩と秋の間にシカゴまで旅する予定だった。ついでに近くまでいくのだからとニューヨークにいる友達のところに泊めてもらって帰国する計画で、10日に航空券の手続きを済ませていた。

11日の夜、家族そろってTVを見ていたときに、その映像は飛び込んできた。
本当におこっていることとは思えなかった。
テロは同時多発的に起こっていたので、まずは彼氏に電話をかけた。留守電につながり、メッセージを残した。
次にニューヨークにいる友達に電話をかけた。通じなかった。携帯電話にも、家の電話にもメッセージを残した。
明け方、彼から電話が入り、普通に仕事をして帰ってきて、膨大な友達・家族からのメッセージに驚いたと言っていた。
友達からのコールバックはなかった。不安でずっと、電話をにぎりしめていた。

1ヶ月ほどして、ようやく友達から電話が入った。
彼女は、恋人を亡くしていた。恋人はツインタワーで働いていた人だった。
「遊びに来たときに紹介しようと思っていたんやけどー」とあっさりした口調だった。

あのビルが崩れる前、最後に携帯電話で話したときに、恋人は冷静だったらしい。
いろいろなことを覚悟して、彼女が彼に伝えた言葉は

「I'm gonna miss you」

さみしくなるよ。


毎年、9月12日の朝にはこの言葉をつぶやく。

自分が同じ立場だったら、どんな言葉を伝えるかを考える。